日本酒あれこれ
日本酒の分類
◆特定名称酒とは
普通酒以外の吟醸酒、純米酒、本醸造酒の総称。米麹の使用割合(白米の重量に対する米麹の重量の割合)が15%以上のもの。
◆特定名称酒の種類
・吟醸酒
精米歩合60%以下の白米・米麹・水・醸造アルコールを原料に、「吟醸造り」といわれる低温でじっくりと醸造した酒。「吟醸香」と呼ばれる繊細でフルーティーな香りと淡麗な酒質が特徴。
・大吟醸酒
吟醸酒の中で、さらに精米歩合が50%以下のものをいう。
・純米酒
白米・米麹・水だけを原料に造った酒。
・純米吟醸酒
白米・米麹・水だけを原料に造った酒で、精米歩合60%以下で吟醸造りのもの。
・純米大吟醸酒白米・米麹・水だけを原料に造った酒で、精米歩合50%以下で吟醸造りのもの。
・本醸造酒
白米・米麹・水・醸造アルコールで造った酒。精米歩合は70%以下、醸造アルコールの使用量は白米重量の10%以下とされている。
・特別純米酒/特別本醸造酒
純米酒と本醸造のうち、香味や色沢(色ツヤ)が特に良く、精米歩合が60%以下で醸造用玄米の使用割合が50%以下であるなど、原料や製造方法が客観的に優れているもの。
◆製法による種類
日本酒は搾る方法や時間、熟成によってさまざまな名称があります。
・生酒(なまざけ)
製成後、一度も火入れ(加熱殺菌)をせずに出荷されるもの。一般にタンク貯蔵前とビン詰前の2回火入れを行うことから生酒のことを本生(ほんなま)生生(なまなま)ともいう。独特のフレッシュな風味が特徴で、加熱殺菌していないため低温での保管が必要。
・生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)
製成後火入れを行わず低温貯蔵し、ビン詰の前に一度だけ火入れして出荷されるもの。生貯蔵酒もフレッシュな風味が特徴。
・生詰(なまづめ)
製成後一度だけ火入れをしてタンクで貯蔵し、ビン詰の前に火入れを行わないもの。火入れをして貯蔵するため落ち着いた酒質となり本来の日本酒熟成の旨味を味わえる。「ひやおろし」に多くみられる。
・原酒(げんしゅ)
もろみを搾ってから水を加えていないもの。もしくはアルコール分1%未満の加水で調整したもの。アルコール分は18度~20度。
・無濾過(むろか)
通常行われる濾過をしない酒。旨味のある酒になるが、酒質が変わりやすいため厳重な貯蔵管理が必要。
・にごり酒(にごりざけ)
もろみを漉(こ)す過程で、荒い布やフィルターで漉して、もろみの内容物を残していて、白く濁っている。
・古酒(こしゅ)
1年以上貯蔵した酒。長期間たつと光沢のある黄金色になり、味はまろやかになる。
・秘蔵酒(ひぞうしゅ)
製造してから5年以上貯蔵した酒。熟成させることで、味に丸味とコクが出て、薄茶色や琥珀(こはく)色の色調になる。
・槽搾り(ふなしぼり)
機械式(もろみ連続自動圧搾機)ではなく、酒袋(さかぶくろ)に入れたもろみを槽(ふね)と呼ばれる伝統的な道具で搾ったことを指す。昔ながらの伝統製法。
・袋吊り(ふくろつり)/雫酒(しずくざけ)
機械、槽以外の清酒の搾り方のひとつ。もろみを入れた酒袋を吊るし、自然に垂れてきた清酒を集める方法。無加圧で搾るため雑味が少なく、まろやかで繊細な優しい味わいになることが多い。
日本酒うんちく
【日本酒ができるまで】
日本酒は、「お米を発酵させて造られる醸造酒」です。
発酵とは、酵母が糖分を食べてアルコールを出すことです。
しかし、お米には糖分が無いので、そのままでは発酵しません。
お米に含まれるデンプンを麹菌の酵素によって糖分に変え、
その糖分を酵母がアルコールに変えるという、きわめて巧妙・複雑な
並行複発酵によって日本酒はできあがります。
玄米
↓ 精米(お米の外側の雑味のもととなる部分を削ります。)
白米
↓ 洗米・浸漬(お米についた不要な糠を落とし、水分をお米に吸わせます。)
蒸米(蒸かすことでお米を殺菌し、麹菌を繁殖させやすくしたり、醪の中で溶けやすくします。)
↓
麹造り(蒸し米に黄麹菌を植えて麹を造ります。麹は米のデンプンを
↓ 糖化する役目を果たします。)
↓
酒母造り(蒸し米・水・麹に酵母を加えたもので、酵母を大量に培養したものです。)
↓
醪造り(酒母に麹・蒸し米・水を加えて醪を仕込みます。)
↓ ※三段仕込み 日本酒造りの特徴である三段階に分けて仕込みをする段仕込みが
↓ 行われます。
↓ 一日目が初添え、二日目は仕込みを休む「踊り」、三日目は仲添え、四日目が留添えで
↓ 仕込みは終了します。
↓ 段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ、酵母の増殖を促し、醪の温度管理をやりやすく
↓ するための独特の方法です。
上槽(発酵を終えた醪を圧搾機で搾り、酒と酒粕に分けます。)
↓
濾過・火入れ(搾った酒を、ていねいに濾過し、60℃の熱で低温殺菌します。)
↓貯蔵・熟成(熟成させて、丸くおだやかな味にととのえます。)
瓶詰(もう一度火入れをして、瓶に詰め、出荷されます。)
【和らぎ水のススメ】
アルコール分子は、水分子で包まれていると身体にやさしいそうです。
水分が不足すると、むき出しになったアルコール分子が胃壁を荒らしてしまいます。
胃を守るために酒の肴を摂りすぎると、そこに含まれるタンパク質やアミノ酸、塩分などが水分子を強く引き付けるため、体内が水不足になってしまいます。
飲んだ翌朝にひどく喉が渇くというのはこのせいです。
そこで、習慣にしたいのが「和らぎ水」です。
ウイスキーをストレートで飲むときのチェイサーと同じ役目で、日本酒の横に冷水を用意して、お酒を飲んだらその倍量の水を飲むというものです。
交互に飲めばペースも落ち着き、飲み過ぎを防ぐ効果もあります。
また、水を飲むことで舌の感覚がリセットされ、美味しくお酒が飲み続けられます。
是非お試しください。
【燗酒は身体に負担の少ない飲み方】
一般的にアルコールは、体温に近い温度で吸収されます。
冷たいお酒は体内に入ってから時間をかけて温まり、吸収されます。
そのため、飲んでから酔いを感じるまでに時間差ができて、実際に飲んだアルコール量をつかめずに、飲み過ぎてしまうということが起こります。
燗酒は、時間を置かずに吸収されるため、一杯飲めば一杯分の酔いを感じられ、身体の調子を確認しながら飲め、飲み過ぎを防ぐことができるようです。
また、同じお酒でも「冷や酒」と「燗酒」では酸味と甘味の感じ方が変わり、味わいの違いを楽しむのもオススメです。
【日本酒と他の醸造酒との違い】
醸造酒には、日本酒のほかにワインやビールなどがありますが、日本酒と他の醸造酒との違いは...
●「並行複発酵」という複雑で高度な醸造法です。
原料の米には糖分が含まれないため、デンプンを糖化させるため、麹を加えます。
麹の出す酵素によってデンプンが糖化され、この糖分を酵母がアルコールに変えます。
デンプン⇒糖化⇒発酵⇒日本酒
↑ ↑
麹 酵母 (糖化と発酵が同時に行われます。)
●ワインは初めから原料に糖分が含まれているため、
この糖分を酵母がアルコールに変えるだけなので「単発酵」と呼びます。
ぶどう(糖分)⇒発酵⇒ワイン
↑
酵母
●ビールの大麦には糖分が含まれていないので、麦芽で糖化させ、糖化液にホップを加え、煮沸・冷却したものに酵母を加えて発酵させます。これを「単行複発酵」と呼びます。
麦芽⇒糖化⇒発酵⇒ビール
↑
酵母
【オンラインショップ取り扱い商品のカロリー】
100gあたりのカロリーは...
純米酒 103 kcal
純米吟醸 103 kcal
吟醸酒 104 kcal
本醸造 107 kcal
梅酒 156 kcal
糀 286 kcal
酒粕 227 kcal
甘酒 81 kcal
えだまめ 134 kcal
なすの漬物 23 kcal
文部科学省 食品成分データベースより
美味しい飲み方
日本酒ならではの飲み方を楽しみましょう!
日本酒は世界でも類を見ない、
味わいの深さと飲む温度帯の幅広さを持っています。
【冷酒】
きめ細やかな味わいと心地良い香り。
【常温】
銘柄やタイプにかかわらず、ありのままの香りや味わい。
【お燗】
まるいふくらみとうまみが現れる。(日本酒の真骨頂)
◎お酒の温度による呼び方と目安◎
★飛び切り燗【55℃以上】香りが強まる。
持てないほどではないが、持った直後に熱いと感じる。
★あつ燗【ほぼ50℃】香りがシャープになる。
熱く感じる。徳利から湯気が見える。
★上燗【ほぼ45℃】香りがきりっと締まる。
数秒間持つとやや温かい。注ぐと湯気が立つ。
★ぬる燗【ほぼ40℃】香りが最も大きくなる。
体温と同じくらいの感じ。熱いとは思わない程度。
★人肌燗【ほぼ35℃】米や麹のよい香りに。
体温より少し低い。「ぬるいな」と感じる程度。
★日向燗【ほぼ30℃】香りがひき立ってくる。
体温よりは低い印象。温度が高いとも低いとも感じない。
★室温【ほぼ20℃】いわゆる常温。かつての土間の温度。
手に持つと、ほんのりと冷たさが伝わってくる程度。
★涼冷え【ほぼ15℃】冷蔵庫から出してしばらく経った温度。
ひんやりとしてはっきりした冷たさを感じる。
★花冷え【ほぼ10℃】冷蔵庫に数時間入れておいた温度。
瓶に触るとすぐに冷たさが指に伝わる。
★雪冷え【ほぼ5℃】氷水に浸して充分に引き締めた冷たさ。
冷たく冷気が見え、瓶に結露が生じる。
気分や料理に合わせて、自分の好きな温度でお楽しみください。
酒の肴レシピ
越の誉塩糀を使った簡単レシピです。
きゅうりのお漬物
【材料】
きゅうり 3本
しょうが 1片
塩糀 大さじ1
【作りかた】
①きゅうりは一口の乱切りにする。
②しょうがは千切りにする。
③密閉容器に①と②と塩糀を入れて
よくもみ込み冷蔵庫で一晩おく。
④よく水気を切っていただく。
鶏肉の塩糀焼き
【材料】
鶏もも肉 約250g
塩糀 大2弱
こしょう 少々
【作りかた】
①鳥もも肉に塩糀をまぶす。
②一晩おいて味をなじませる。
③フライパンで焼き色をつけて
弱火でじっくり中まで火を通す。
④仕上げにこしょうをふる。
魚介の塩糀和え
【材料】
エビ 約100g
タコ 約100g
ホタテ 約100g
塩糀 大2弱
ワサビ 少々
【作りかた】
①エビ、タコ、ホタテを茹でる。
②①に塩糀をまぶし冷蔵庫で1時間程おいて味をなじませる。
③ワサビを添えて盛り付ける。